セメント抵抗を使ってUSB PDで水を沸かす

投稿者: | 8月 29, 2023

きっかけ

ぼちぼちセミが鳴き始める時期なので、セミの幼虫を食べたいなーって思いました。せっかくなので公園でとってその場で食べたいですが、火気厳禁です。なので、USB PD 100W対応なポータブルバッテリーで水を沸かして茹でてみようと思いました。

作ったり使用したりするのは自己責任で!

セメント抵抗にはどんなものが含まれているのかわかりません。実際に作成して口にする時は自己責任でお願いします。
また、友人が提案してくれたんですが、数回しか使わないのであれば、アルミホイルでセメント抵抗に水が触れないように全体をくるんだほうが早いと思います。また、セメント抵抗のリード線の絶縁が最低限に済むのでかなり楽だと思います。

概要

電源はUSB PD 100Wを使用
熱源はセメント抵抗
200ml位を実用的な速さで沸かす

セメント抵抗の選定

20V5Aを流したいので4Ω以上のものを選定します。今回は秋月で、売ってい10Ωの2つ並列にして使いました。定格は10Wですが沸騰させる水で冷却されるので問題ありません。AliExpressとかだと8Ωのセメント抵抗が売ってたりするので時間に余裕があればそっちを使ってもいいかもしれません。

セメント抵抗を使ってUSB PDで水を沸かす
セメント抵抗
10W10ΩJ
秋月電子通商のセメント抵抗10W10Ω

実現可能性調査

そもそも水が沸くのかどうか確認しないといけません。適当な缶に水を入れてセメント抵抗を入れて直流安定化電源で45W程度で加熱してみました。

セメント抵抗を使ってUSB PDで水を沸かす
実現可能性調査
DT203
93度付近までしか上がっていない(机がきったない)

そのままだと93℃程度までしか上がらず、抵抗の表面でわずかに沸騰するといった感じでした。布を巻いて缶の保温性を高めたところ、ちゃんと沸騰しました。ただ、リード線部分が電気分解で溶けて、細くなっており、水も白くにごりました。

セメント抵抗を使ってUSB PDで水を沸かす
DT203
保温したところ沸騰

これより、容器の保温性がそこそこ大切な事がわかりました。

セメント抵抗の加工

そのまま水につけると、電気分解でリード線が溶けて錫とか銅とかが溶け出したヤバめの水が出来上がるので絶縁をしっかりしないといけません。また、100℃に耐える必要もあります。今回は、バスコークNを使用しました。人体に無害で耐熱性も耐水性も高い夢のような素材です。

セメント抵抗を使ってUSB PDで水を沸かす
セメダイン バスコークN
セメダインバスコークN

まず初めにセメント抵抗のリード線を短めに切って鉛フリーはんだ(万が一溶け出しても鉛より錫のほうが100倍マシ)で導線をつけます。もちろん導線の被覆が耐熱性があるものを、選定してください。

セメント抵抗を使ってUSB PDで水を沸かす
鉛フリーはんだ
使った鉛フリーはんだ(高かった…)

その後、バスコークNでハンダした部分とリード線が見えている部分を固めて絶縁します。固まるまで2日間くらい放置しました。

セメント抵抗を使ってUSB PDで水を沸かす
セメダインバスコークN
バスコークNを塗るに当たりマスキングをした
セメント抵抗を使ってUSB PDで水を沸かす
ヒーター
セメント抵抗
バスコークNN
完成!

使用する容器

保温性が大切なことがわかったので、ダイソーの500円の真空二重ステンレスマグカップと、シリコンの蓋を買いました。

セメント抵抗を使ってUSB PDで水を沸かす
ダイソー真空二重ステンレスマグカップ
シリコン 蓋
ダイソーの真空二重マグカップとシリコンの蓋

動作確認

USB PDから20Vを取り出せるトリガーデバイス(AliExpressで買った)をつかって電源にします。無事に沸きました。推定80Wです。蓋をすると激しく沸騰します。

セメント抵抗を使ってUSB PDで水を沸かす
USB PD トリガーデバイス トリガデバイス
100Wまで取り出せるトリガーデバイス
セメント抵抗を使ってUSB PDで水を沸かす
沸騰
沸騰しているところ

モバイルバッテリーで動作もさせてみました。このモバイルバッリーは24V5A出力まで可能なので24V出力で推定115Wで加熱してみました。バッテリーの減りもめっちゃ早いです。1時間も持たなさそうです。

セメント抵抗を使ってUSB PDで水を沸かす
NJF-4X
24V出力中のモバイルバッテリー

沸騰するまでの時間

ちゃんと時間の計測もしてみました。常温から沸騰するまでの時間です。水は350ml入れました。セメント抵抗を入れた状態でマグカップに収まるギリギリです。はじめにUSB-PD 20Vで動作させてみました。推定80W(多分72Wくらい)です。

セメント抵抗を使ってUSB PDで水を沸かす
測定開始時の水温

結果は32分かかりました。ちょっと現実的では無いですね。半分くらいの量であれば20分程度なので、それくらいが現実的だと思います。4Ωであれば100Wになるので1.25倍の26分くらいだと思います。

次に24Vで動作させてみました。推定115Wです。これが早くて19分で沸騰しました。ただ、モバイルバッテリーが一瞬で無くなって100%だったのが沸騰する頃には60%でした。2回しか沸騰させられません。

安全性

いろいろ気をつけて加工をしましたが、そもそもセメント抵抗がこんな用途に使うことを全く考えられていないので、どこまで安全化は疑問です。何回か沸かしてをしてアク抜き的なことをしたほうが良いと思います。自分は4時間くらいやりました。沸かしたお湯をちょっと飲んでみましたが変な味がします。化学薬品っぽい感じでアクリル絵の具みたいな感じです。そのあと、沸いた熱湯でカップヌードルを作ってみました。スープまですべて飲みきりましたが、お腹を下すとかはなかったです。ただ、すぐに体調には現れないなにかかが含まれていそうなので、普段使いは推奨できません。

おわりに

セミが本格的に羽化するまでにはもう少し時間がありそうなので楽しみに待ってます。熱が外にほとんど逃げていかないのでエネルギー効率もそこそこいいと思います。自分は、使用するケーブルを吟味せずに適当に選んだ結果105℃のギリギリな物だったので、これが変な味の要因かもしれません。

後日談

実際にセミをたべました。ソフトシェルゼミは煮たらめっちゃまずかったのでお勧めません。苦くて変な味がしました。ザリガニとか食べようかな…

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