I-O DATAのNAS、HDL-AH2.0を分解して眺める

投稿者: | 1月 9, 2025

目次

はじめに

研究で回路ばっかりやってて嫌になってきたので、リバースエンジニアリング気分です。ちょうど良い感じに転がっていたので、分解して中身を見てみます。

HDL-AH2.0について

HDL-Aシリーズの法人向けモデルの2Tモデルです。
HDL-AシリーズとHDL-AHシリーズの違いは、法人向けかどうかで、保証期間が長いか、有償保守サービスがあるかどうかだと思います。ハードウェア的な違いは無いものと思われます。インターフェースは
・USB2.0×2
・1G LAN×1
です。

下にインジゲータランプがついていて、ディスクエラーで赤く光っています。

HDL-Aの欠陥

Linux(Debian)が搭載されているのですが、なんとHDDに搭載されています。そのため、HDDが故障すると起動できなくなります。また、ファームウェアが公開されておらず、別のHDDにファームウェアを焼いて起動させる、みたいなこともできません。そのため、事前にHDDのフルバックをしていないと詰みます。今回分解したやつはHDDが壊れてて詰んでます。一応、I-O DATAにお金を払えばファームウェア入のHDDをもらえた様です(5年以上前の話)。

分解

HDL-AシリーズのHDD交換方法が調べればたくさん出てくるのでそれを参考にすれば(しなかったけど)簡単にできると思います。

基板を眺める

表面はHDDが乗るせいなのか物は少なめです。ピンヘッダが2つ立ってます。雰囲気的に、上の4ピンのもの(J7)がUARTだと思われます。2ピンのほう(J8)は謎です。

裏面はSoCなどが乗っています。目に付くところとしては、水晶発振器が多い!4つも載っています。ピンヘッダも多く、3つも立ってます。それぞれ、後述するICのJTAGとかかなーと思ってます。

構成IC

Marvell 88F6282(SoC)

HDL2-A(HDD2スロットモデル)とも共通のSoCらしいです。
ARMv5TE 1.6GHzが1コア、2つのSATA2、2×PCIe1.1、1×USB2.0らしい。どうやらCPUは1.6GHz(ディフォルト)、1.8GHz、2.0GHzに対応しているらしいのでレジスタをポチポチすれば2.0GHzで動かせるかもしれない。
データシートが見つかりませんでした。88F6281のものはMarvellが公開していたようで見つかりました(Hardware SpecificationsFunctional Specifications自鯖ミラー)。88F6282はProduct Briefしか公開していない様です。

SAMSUNG K4B1G0846G (RAM)

表と裏に1つづつの合計2つが載ってます。一枚あたり128MBなので、合計256MBです。DDR3の様です。データシート(自鯖ミラー)

Macronix MX25L4006E(ROM)

SoCの逆側の表についています。512kiBの様です。U-Bootとかが入っているのだと思います。機会があったらROMライタで吸い出して見ようと思います。データシート(自鯖ミラー)

Marvell 88E1318(LANコントローラ)

RGMIIとRJ-45の変換をするやつです。Product Brief

NEC μPD720114(USBハブ)

USB2.0 1ポートを4ポートに分岐させる普通のUSBハブのICです。ONKYO ND-S1を分解・解析で見かけたものと同じ物です。データシート(自鯖ミラー)

Renesas R5F21258SNFP(管理用マイコン?)

この基板でもっとも謎なところです。ここまでは平凡なNASの基板でしたが、ここでガラッと雰囲気が変わって、めんどくさそうな感じになります。電源の管理や、ファンの管理、LEDの管理とかでしょうか?
RenesasのR8C/25シリーズだそうです。ROM 64KB、RAM 3KB、パッケージPLQP0052JA-Aな様です。データシート

Microchip AT24C256C(ROM)

上のRenesasマイコンに接続されています。256Kbit(32KB)な様です。一体何を保存しているのか謎です。これも暇だったらROMライタで吸い出してバイナリを眺めてみるかもしれません。データシート

RICOH RS5C372A(RTC)

リアルタイムクロックです。I2C通信らしいのですが、Renesasマイコンか、SoCのどちらに接続されているのでしょうか(たぶんSoC)?データーシート(自鯖ミラー)

空きパッドを見て考察

RAM

2つの空きのパッド(U27、U28)があるので、合計4つのK4B1G0846Gを搭載できる感じっぽさそうです。その場合は512MBです。

USB3.0

デカ目なBGAなパッド(U42)があります。これは、USB3.0のコントローラだと思われます。PCIeのカップリングコンデンサだと思われる空きパッドも近くにあるため、SoCからPCIeで接続する感じだったのだと思います。ここにPCIeの信号が来ているのであろうということで、頑張ればグラボとかをくっつけることが技術的に可能。USB3.0のICをつけたときはNEC μPD720114は取り外して、L1とL2をL11とL12に付け替える感じでUSB2.0の信号線を切り替えるのだと思います。

USB2.0のコネクタが載っているパッドもUSB3.0用のパッドが用意されてます。

Debianの移植可能について

Marvell 88F6282はNAS用としてはド定番らしく、
・BUFFALO LS-VL、LS-WVL、LS-QVL
・IOMEGA Iomega StorCenter ix2-200
・NETGEAR ReadyNAS DUO v2
などなどに載っており、上記のどれもユーザがビルド可能なDebianのソースコードが存在し、最新のDebianも動作するようです。そのため、Debianのビルド自体は難しくなさそうです。
LANコントローラのMarvell 88E1318もBUFFALO LS-VLに搭載されているようで(ソース)、Debian_on_Buffaloのコードを参考にすることができます。

問題はRenesasマイコンが何を行っているかです。ぱっとピンアサインを調べた感じ、LED、電源ボタン、ブザー等のGPIO周りを担っている感じでした。

おわりに

次回でUARTの観察をしてみようと思います。気が乗ったらDebianの移植をすると思います。

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