電子負荷IRV Electronic Load 抵抗値とトランジスタの決定

投稿者: | 5月 5, 2024

このページでは、使用する抵抗値の決定方法を説明します。

電子負荷IRV Electronic Load

電源電圧の決定

12Vと5Vが選択できます。他の電圧も設定可能ですが、12V以下となります。いずれの場合でもファンの駆動のために12Vが入力電圧です。
マイコンを使用する場合(ベーシック・フル)の場合は5V、マイコンを使用しない場合(シンプル)は12Vが良いと思います。12Vの方が部品点数が少なく済みます。5Vだと、マイコンの電源として使用しやすく、マイコンに搭載されているUSBに12Vが印加されることがなくなります。

最大電圧電流の設定

電子負荷で使用したい最大電圧電流で抵抗値が決定します。無闇に大きな値にすると、細かな調整が困難になったり、精度の低下、大きな容量のトランジスタ/MOSFET、巨大なCPUクーラーが必要になったりします。

代表値

25V6A、電源電圧5V
R1=0.5Ω、R2=3.3kΩ、R3=5kΩ、R4=22kΩ、R5=3kΩ、R22=22kΩ、R23=3kΩ、2SD2560
一般的に使用される最大の電圧24V、PDの最大値5Aも負荷テストが行えます。

25V6A、電源電圧12V
R1=0.5Ω、R2=15kΩ、R3=5kΩ、R4=22kΩ、R5=3kΩ、R22=22kΩ、R23=3kΩ、2SD2560
一般的に使用される最大の電圧24V、PDの最大値5Aも負荷テストが行えます。

50V6A、電源電圧5V
R1=0.5Ω、R2=3.3kΩ、R3=5kΩ、R4=47kΩ、R5=3kΩ、R22=47kΩ、R23=3kΩ、TK31J60W
USB PD3.1やPoEの48Vにも対応したものです。

50V6A、電源電圧12V
R1=0.5Ω、R2=15kΩ、R3=5kΩ、R4=47kΩ、R5=3kΩ、R22=47kΩ、R23=3kΩ、TK31J60W
USB PD3.1やPoEの48Vにも対応したものです。

計算方法

代表値以外の値を選びたい場合は下の計算ツール(エクセル)を使って計算をしてみてください。電流は最大15A程度、電圧は50V付近までが良いと思います。

計算ツール(IRV_ElectronicLoad_RCal.xlsx)

それぞれの抵抗の役割を詳しく知りたい場合は、電子負荷を自作してみた~設計編~を見てみてください。

トランジスタの決定

NchMOSFETか、NPNトランジスタを使用します。共通の条件としては、
・SOAを超えていないか
・最大電力の確認
・ピン配置の確認
・パッケージがTO-220かTO-3Pか?

NchMOSFETを使用する上での条件としては
・最大ゲート・ソース間電圧の確認(最大12Vが印加されます。)

NPNトランジスタを使用する上での条件としては
・ベース電流が1mA程度で必要なコレクタ電流が流れるか?

使用可能と思われるトランジスタ

秋月で扱われているもので目についたものをピックアップしてます。

  • ダーリントントランジスタ 2SD2560 150V15A [103011]
    50V2.5A、30V5A程度まで。安価ですので、おすすめです。25V6A用としては最も安いです。
  • NchパワーMOSFET 500V15A TK15J50D [115027]
    50V4A、30V5A程度まで。安価ですので、おすすめです。25V6A用としては最も安いMOSFETです。
  • NchパワーMOSFET 600V30.8A TK31J60W [110352]
    50V5A、20V10A程度まで。良い性能ですが高価です。
  • NchパワーMOSFET 100V100A TK100E10N1 [108350]
    20V2A、10V5A程度まで。小さな容量の電子負荷を作成したい場合向けです。
  • NchパワーMOSFET 60V70A 2SK3711 [106600]
    DC特性が書かれていないため詳細不明ですが、20V5A、10V20A程度まで。
  • NchパワーMOSFET 500V15A 2SK2698 有鉛品 [129407]
    30V5A、20V7A、50V3A程度まで。

SOAの確認方法

SOA(安全動作領域)の確認方法ですが、データーシートにグラフが書いてあります。
直流動作時の線を読めば大丈夫です。

オーバードライブ(予定)

SOAはパッケージの許容損失で決まるのですが、TO-3Pでも、250Wあたりが限界です。しかしながら、温度が十分に低ければ更に電力を消費させることが可能だと思います。そこで、フルでは温度センサの結果を用いてSOA以上の電圧・電流を流せるようにしました。ただし、MOSFETが故障して、計測対象の機器まで故障しても責任は負えません。

電子負荷IRV Electronic Load

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