USBテスタkeweisi KWS-V20(3.5~9.0V)を改造してみた

投稿者: | 2月 17, 2024

目次

きっかけ

以前投稿したAliExpressで爆買いしたときの記事で少し紹介したUSBテスタですが、今回は本格的に分解、解析、改造をしてみようと思います。

目標

20V付近でも使用できるようにする。

無改造での動作

計測できる電圧が実測値で2.6~9.9V(公称値は3.5~9.0V)となっています。これ以外の電圧では、起動時のようにLCDのすべての部分が点灯しっぱなしとなります。しかしながら、2.6~9.9Vの間で電源をいれ、その後電圧を上げていくと正常に計測できます(自分の持っている直安が18Vまでだったので18Vまでは計測可能なことは確認)。このことから、内部回路的には、少なくとも18Vまでは計測できるはずです。

分解・解析

とりあえず分解して、解析してみます。このkeweisi KWS-V20には数種類あり、分解解析をしている人がいるのですが、その人とは異なる物です。分解したところ以下のようになりました。(以前の記事の写真の使い回し)

USBテスタkeweisi KWS-V20(3.5~9.0V)を改造してみた
分解 AliExpress
USBテスタkeweisi KWS-V20(3.5~9.0V)を改造してみた
分解 AliExpress
SOT89 HT7533
SOP14 マイコン
SOT23-5 Atmel AT24C02
SSOP48 HOLTEC HT1621

表は、液晶とリセットボタンのみなので、特筆することはありません。裏側はICが4つ、チップ抵抗が5つ、チップコンデンサが3つとなっています。各チップについての説明を入れたのが以下の図となります。手書きで汚くてすません

USBテスタkeweisi KWS-V20(3.5~9.0V)を改造してみた
分解 AliExpress 解析
SOT89 HT7533
SOP14 マイコン
SOT23-5 Atmel AT24C02
SSOP48 HOLTEC HT1621
シャント抵抗 0.25Ω
各部品と結線

ICに関して

左下のSOT89は三端子レギュレータでHT7533(データシート)です。入力30Vまでで、3.3V100mA出力です。なので、電源あたりはいじらなくても30Vまでいけます。

中央のSOP14パッケージのは表面の刻印が消されているため詳細はわかりませんがチップを剥がしたところ裏面に刻印があり、H10731 E0678.0.29と書かれていました。詳細は、調べても出てこなかったため不明ですが、マイコンです。ピンアサインはこんな感じです。

USBテスタkeweisi KWS-V20(3.5~9.0V)を改造してみた
分解 AliExpress 解析
SOP14 マイコン
H10731 E0678.0.29 HT0731
裏面の刻印
USBテスタkeweisi KWS-V20(3.5~9.0V)を改造してみた
分解 AliExpress 解析
SOP14 マイコン
SOT23-5 Atmel AT24C02
マイコンのピンアサイン
USBテスタkeweisi KWS-V20(3.5~9.0V)を改造してみた
分解 AliExpress 解析
SOP14 マイコン
SOT23-5 Atmel AT24C02
SSOP48 HOLTEC HT1621
2ピンのパルス出力

マイコンの下にある、SOT23-5で表面に24CS02Sと書いてあるのは、AtmelのAT24C02(データシート)というEEPROMです。まともなメーカの物で驚きです。

右の大きい(SSOP48)のはパラレルシリアル変換IC(もしくは液晶コントローラ)だと思われます。刻印が消されているため詳細は不明ですが、マイコンからのシリアル信号を液晶を点滅させるパラレル信号に変換しているように思われます。HOLTECのHT1621(もしくはそのコピー)(データシート)でした。LCDコントローラです。9ピンがクロック、11、12がシリアル信号、17ピンが電源となっています。結構有名なLCDコントローラの様なので、暇だったらArduino向けのライブラリでも作ってみようかと思います。

液晶のライブラリ作りました↓
USBテスタkeweisi KWS-V20のLCD(HT1621)用ライブラリ

電圧・電流測定部分

図に表すとこんな感じです。

USBテスタkeweisi KWS-V20(3.5~9.0V)を改造してみた
分解 AliExpress 解析
計測部の概要図

表示部分が入力側にあるので、電流の測定値に本体の消費電流は含まれません。また、シャント抵抗より上流で電圧を測定しているので、シャント抵抗での電流降下は測定されません。0.25Ωとそこそこ大きい抵抗値なのでシャント抵抗より下流で電圧を測定してほしかったです。マイコンへの入力部には電圧・電流のどちらにも0.1μFのコンデンサが挟まってます。

改造要件

2.6~9.9V(6ピンは0.217~0.825V)の時のみ電源が入るので、この電圧の測定を行っている、6ピンをごまかします。起動時のみ6ピンに0.217~0.825Vが入るようにします。

液晶用のクロック信号(2ピン)が、起動時は常に3.3Vが出力されるので、これを使用して3.3V時のみ6ピンの入力電圧を下げるようにします。また、このクロック信号は60kΩ以下が接続されると、正常に起動できなくなります。

60kΩ以下を繋いで正常に起動しなくなったところ

改造案

主に2つの方法があると思います。6ピンに2ピンから作成した電圧を加える方法と、入力電圧を下げて6ピンへの入力電圧を下げる方法です。今回はインピーダンスと部品点数の少なさから後者の方法にしました。

シミュレーション

作成した回路はこんな感じです。起動時(2ピンがHighの時)はMOSFETがONになって、ツェナーダイオードに電流が流れ、分圧する電圧を6.8V以下としてくれます。起動が終わって、2ピンがパルス信号となるとMOSFETがOFFになって、分圧する電圧は入力電圧となります。

USBテスタkeweisi KWS-V20(3.5~9.0V)を改造してみた
分解 AliExpress 解析
シミュレーション LTspice
回路図とシミュレーション

改造

シミュレーションから2kΩを半固定抵抗4.7kΩ、ツェナーダイオードを1N4738(ツェナー電圧8.2V)、MOSFETを2N7000TAと変更しました。これは、表示電圧の調整と、LTspiceのモデルと手持ち在庫の関係です。
実装は、半固定抵抗器の場所に苦難しました。結果的に足を切り落として、LCD側のリセットボタンの向かい側に実装しました。ケースに当たりますがギリギリ入りました。

改造後の動作
USBテスタkeweisi KWS-V20(3.5~9.0V)を改造してみた
分解 AliExpress 解析
改造後の表面
USBテスタkeweisi KWS-V20(3.5~9.0V)を改造してみた
分解 AliExpress
SOT89 HT7533
SOP14 マイコン
SOT23-5 Atmel AT24C02
SSOP48 HOLTEC HT1621
改造後の裏面

変換ケーブルの作成

USBを2.1mmDCジャックに変換するコードを作成して色々測定できるようにもしてみました。ダイソーのUSB-Cケーブルを切って、PDの電圧電流も測ってみました。

USBテスタkeweisi KWS-V20(3.5~9.0V)を改造してみた
分解 AliExpress
DCジャック 2.1mm
2.1mmDCジャック変換ケーブルを取り付けたところ
USBテスタkeweisi KWS-V20(3.5~9.0V)を改造してみた
分解 AliExpress
DCジャック 2.1mm
USB -PD
USB-PD変換ケーブルに取り付けたところ
USBテスタkeweisi KWS-V20(3.5~9.0V)を改造してみた
分解 AliExpress
DCジャック 2.1mm
USB -PD 60W 65W
65Wの充電器でMacbook Proを充電中

おわりに

改造が成功して良かったです。今度は、
・ホール素子による電流測定
・電源の分離
・入力電圧が0V付近でも起動可能
などの改造を追加で行なってみようと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)